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ラッセ・ハルストレム監督作品、『シッピング・ニュース』。 どうしようもなく生きていくには、行き場のない一人の人間が、再生していく。 ニューファンドランドという厳しく美しい島で。 彼一人、孤独だった。 父親に見放され、妻に裏切られ、娘を抱きながら途方に暮れていた。 突然、訪ねて来た叔母と共に祖先の島、ニューファンドランドで暮らすことになる。 暗い闇から、少しずつ救われていく。 そして、彼に優しい目を向けてくれる人々も深い闇の住人だと知る。 ラッセ・ハルストレム監督の映画の根底に流れるものに心が癒される。 それは、決して優しさや慈しみという形だけではなく、 残酷だったり、悪戯だったり、別れだったり、弱さだっり、罪だったり... 人間の多面性を上手く映像に刻みながら、血の繋がりや人と人との関わりを見せてくれる。 受動と能動のバランス、すべてに受け身だった主人公クオイルが、自ら動きだす。 自尊心が生まれ、静かな愛が生まれ、真実を受け入れようとする勇気も生まれ... ケヴィン・スペイシー、実に味のあるいい俳優だと思う、再認識。 ケイト・ブランシェットも上手い、最低な悪女だけれどもクオイルには、女神のような存在、 そういう役所を体全部で演じると言うより...そのものだった、やられました、という感じ。 ジュディ・デンチは、『ショコラ』でも最高だったけれど、 この映画でも彼女の存在だけで、ストーリーが動き出すような、独特の存在感が、すばらしい。 そして... 大好き(笑)な、ジュリアン・ムーア、静かに存在しながら、強い意志を感じさせる、 クオイルへの静かな愛情表現、母性で彼を包み込むようなシーン、 映像の外側の私まで、彼女に癒されるような錯覚に陥りそうになった。 やっぱり、いい女優。 ラッセ・ハルストレム監督の映画は、実に細やかに人間や生を描いている。 それが、静かに静かに染み込んでくる。 登場人物が、ついさっきまで、隣で話しをしてくれていたように。 地味ながら、いい映画でした。 + B.G.M. O BRILHO DO TEMPO/SELECAO SAKAMOTO DE BOSSA NOVA |