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September 5,2002 thu.
ラッセ・ハルストレム監督作品、『シッピング・ニュース』

どうしようもなく生きていくには、行き場のない一人の人間が、再生していく。
ニューファンドランドという厳しく美しい島で。

彼一人、孤独だった。
父親に見放され、妻に裏切られ、娘を抱きながら途方に暮れていた。
突然、訪ねて来た叔母と共に祖先の島、ニューファンドランドで暮らすことになる。
暗い闇から、少しずつ救われていく。
そして、彼に優しい目を向けてくれる人々も深い闇の住人だと知る。

ラッセ・ハルストレム監督の映画の根底に流れるものに心が癒される。
それは、決して優しさや慈しみという形だけではなく、
残酷だったり、悪戯だったり、別れだったり、弱さだっり、罪だったり...
人間の多面性を上手く映像に刻みながら、血の繋がりや人と人との関わりを見せてくれる。

受動と能動のバランス、すべてに受け身だった主人公クオイルが、自ら動きだす。
自尊心が生まれ、静かな愛が生まれ、真実を受け入れようとする勇気も生まれ...

ケヴィン・スペイシー、実に味のあるいい俳優だと思う、再認識。
ケイト・ブランシェットも上手い、最低な悪女だけれどもクオイルには、女神のような存在、
そういう役所を体全部で演じると言うより...そのものだった、やられました、という感じ。
ジュディ・デンチは、『ショコラ』でも最高だったけれど、
この映画でも彼女の存在だけで、ストーリーが動き出すような、独特の存在感が、すばらしい。
そして...
大好き(笑)な、ジュリアン・ムーア、静かに存在しながら、強い意志を感じさせる、
クオイルへの静かな愛情表現、母性で彼を包み込むようなシーン、
映像の外側の私まで、彼女に癒されるような錯覚に陥りそうになった。
やっぱり、いい女優。

ラッセ・ハルストレム監督の映画は、実に細やかに人間や生を描いている。
それが、静かに静かに染み込んでくる。
登場人物が、ついさっきまで、隣で話しをしてくれていたように。

地味ながら、いい映画でした。

+

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