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闇の中では、いっそ殺してくれと願う。 陽ざしの中では、いっそ殺してしまいたいと思う。 あなたの眼差しの届く所で、 私は、いつでも、二つの死を夢想する。 ... 死と隣り合わせになるほどの愛情は、私を素通りして、パリの街を泳ぐ。 たとえば、マレのカフェ、裏通りのバー、隠れ家のようなレストラン。 あるいは、あばずれたちの集まるクラブ。 そこであなたは、時に目を細めて微笑み、 時には上目づかいで睨む。 その視線からしたたる雫に溺れかけた人々がそこにいる。 幸福な溺死を待つ者たちに私の気持ちが解る筈もない。 + 『巴里製皮膚菓子』幻冬社刊 文・山田詠美、写真・小林丸人の写真小説集。 小林丸人は、天才パイプオルガニストでありながら写真を独学で学び 独自のスタイルでパリの風物と人間を撮影してきた人。 フランス男の裸体が多い写真集で、食傷ぎみではあるけれど 山田詠美の紡ぎ出す文章は極上の短編小説のようで とてもとても好き。 『巴里製皮膚菓子』 なんとも素敵なタイトルではないだろうか。 あの日の私は、パリを歩いているようでパリの街を外から見ているようだった。 いきなり恋人のことを話し始めた初対面の彼の横顔をふと思い出す。 そしてブラッセリーで飲んだテーブルワインの味とを... |
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