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全東洋街道(上下) 藤原新也 + 女は眉間から真二つに割れた山羊の頭の部分を皿に移し、 ジンクホワイトの脳にスプーンを入れながら食えと合図する。 ラクー(酒)の肴はこれが最高よ。(トルコ) + ある人に、「こういう仕事をしたいんだ」と手渡された2冊の本。 それまで写真と言えば、叙情的なものやファッションフォト、 コンセプチュアルなクールなものを好んで見ていた私。 文庫版の小さな写真は、藤原新也氏の目を通して切り取られたドキュメンタリーだった。 こんなドキドキするカラー写真は、初めてだった。 さらに彼の美しく詩的な文章に心魅かれた。 息をのむように読み耽った。 そこにある生と性、媚態の女性、解体され食われるのを待つ山羊の臓物... 異臭さえ想像の中で愛おしいと感じてくる、錯覚? 食、官能、男、女、汗、体液、汚物... 人間を見せつけられる、でもなぜかほっとさせられる。 彼にまとわりついた濃密な時間が、伝染してくる。 人間という生き物の真実。 以下、『全東洋街道』の国々など イスタンブール、アンカラ、地中海、黒海、シリア、イラン、パキスタン、カルカッタ チベット、ビルマ、チェンマイ、上海、香港、朝鮮半島、高野山、東京... (C)1982年 集英社文庫 ISBN4-08-750563-4 << EXIT :::: NEXT >> |